第10回サイクルマラソン阿蘇望

2007年7月28日〜30日


去年の阿蘇望は梅雨明け前の豪雨に見舞われ、箱石峠往復で中止なるなどさんざんな思いをしたので、今年は練習不足も重なりエントリーしないつもりであった。
が、マダムさん・やんにしという悪い?お友達の誘いもあり、エクシー(マダム、ひろ、Fさん、自分@うに)とYABAI(やんにし、藤もっち)の6人で参加することになった。
ただ梅雨時期の豪雨により、箱石峠の先の国道265号線が約20mにわたり崩落したため、阿蘇山頂・草千里が走れなくなり、阿蘇望橋方面に急遽コース変更となる事態となった。距離は7kmほど伸びたものの阿蘇山を登らないコースとなり、3峠では物足りなさを感じていたのだが、やはり地獄の阿蘇望はただ者ではなかった・・・。

他のメンバーは山陽側に住んでいるので待ち合わせに問題ないのだが、自分は2年前に島根に転勤になっているため、嫁さんの実家の近くである佐波川SA(山口県防府市)でマダムさんの車に拾ってもらうことにした。

熊本へ出発する前日から嫁さんの実家に行くことになり、夜いそいそ準備をしていた。が、ふと決戦用タイヤを見るとサイドにかなり大き目の亀裂があるのを発見する。
このタイヤは01石見ライド(豪雨)、去年の阿蘇望(豪雨)、奥出雲ツーリング(雨)と雨ばかりで使っていたため1年ちょっとしか経っていないのにかなり痛んでいた・・・もう少し使えるだろうと思っていたが、急遽買い替えることに。
次の日、嫁さんの実家に到着するやいなや、里帰り出産のためしばらく会ってない嫁さんとの会話もそこそこにサイクルショップに電話を掛けまくりタイヤの在庫を確認する。防府市内のビークルにいつも使っているタイヤの在庫を見つけ速攻で買いに行き一安心する。

いよいよ熊本に出発する日がきた。佐波川SAに9時30分の待ち合わせのため、余裕をもって8時過ぎに出ることにした。
新品のタイヤの慣らしも兼ねて約23kmを自走することにし、嫁さんの「行く途中でパンクしたら笑えないね」の言葉に苦笑いしつつ、快晴の朝の空気を吸いながら気持ちよく出発した。

すぐに宇部市から阿知須町に入る。数年前にきらら博がひらかれた阿知須町は、綺麗に整備された中央分離帯付の片側2車線、歩道も広く快適に走れる予定だった。
が、出発して4kmも行かないうちに後輪から「バッス!!ぴゅるる〜」という音とともに急激に空気が抜ける・・マジか?
急いで路肩に寄りタイヤを見てみると、サイドに大きな穴が開いている!
ミシュランプロ2レース(税込5490円)が僅か4km&1日でご臨終とは・・・思わず嫁さんの「バカ?」という顔が浮ぶ・・・。
仕方ないので、パンク修理用のパッチをタイヤの裏側に貼り、チューブを交換したが今度はなかなかタイヤが嵌らない・・・無理やり嵌め込んでいるとなぜかタイヤが赤い。親指の皮膚がむけ出血していた・・踏んだり蹴ったりで泣きそうになる。

こんなときに携帯電話が鳴り、今日一緒に行くひろさんから、「今玖珂ICを出発しました〜。9時30分には着きますよ〜」と連絡がある。
パンクしたことを告げると驚くこともなく「やっぱり?」的な反応で笑われた。パンク王の称号はまだまだ続きそうだ・・・。
修理を終え、ふと時間を見ると8時45分を過ぎている・・大きな荷物を背負って20kmを40分たらずで走るのは少々無理があるが、ラスムッセンの疑惑のTTばりで走れば不可能ではない。
朝から容赦なく照りつける太陽の下、がんがん踏んでヘロヘロになりながら、なんとか3分遅れで佐波川SAの下まで来ることができた。
が、こんどはSAに登る道がわからない。とりあえず一番大きい道を登っていくと、次第に急坂になり、最後は18%もあろうかというありえない坂になる・・ここで大丈夫なのか?
登ってみると高速道路の車線横に出た。SAは見えるがどうみても高速道路内を走らないと行けそうにない・・・ただでさえ遅れているのに、また下って、ようやく道を見つけて汗だくになりながらなんとかメンバーに合流できた。

みんなが車載を手伝ってくれる中、パンクのチェックをするも、ひろさんの「こりゃ本番で使うのは無理だね」の冷静な一言で目の前が暗くなる。
マダムさんからも「熊本市内で買うしかないねえ」とのありがたいお言葉・・。
「2日続けてタイヤ買う奴もいねーだろうなあ」と心の中で自嘲する。

今回はマダムさんのステップワゴンに6人、屋根上に車載6台という前代未聞の裏技だったが、6人1台で行けるのはとても楽しく、自転車談義とDVD鑑賞で九州に上陸したのも気づかないままであった。

植木ICを降りると、いつも見慣れた道である。ここから熊本市内はいつも渋滞で、ようやく13時半に熊本ラーメン「大黒」に到着する。ここは阿蘇望ではいつも寄っている定番のお店だ。
去年食べたときは、スープが少しぬるく、味も落ちたかな?と思っていたが、今年は非常においしかった。

「大黒」を出ると、タイヤを買いに市内の自転車屋を探してもらう。こういうときナビが非常に便利である。
熊本では有名な「Syarinkan(しゃりんかん)」に行くことにする。行ってみるととてもおしゃれな店で一見自転車屋に見えない。

だが明日の阿蘇望のせいか、タイヤの在庫がかなり少ない。さらに自分か使っている銘柄のタイヤは赤色しかない。前輪は新品なので2本買うのもバカらしくしばし悩む。
「はようせいや〜」と店の外から広島弁で叫ぶマダムさん・・・広島弁って怖い。
みんな待ちきれないのか店の中に入ってじろじろと商品を見ている。
しぶしぶ妥協して他のメーカーで色が似ているタイヤを買うことにする。しかしおしゃれな店は値段も高いのである。昨日といい今日といい無駄な?出費が多いなあ・・と心の中で叫んでみる。

が、、、レジに行くとそこにはまぎれもない「熊本美人」が!!・・少々タイヤが高いのも許せてしまう。おつりを手渡しでもらうため、あえて1万円を出してみる。
よく見ると、やんにしや藤もっちもチラチラと見ている。この2人は考えていることがわかりやすいぜ・・。
長く待たしたことをマダムさんにお詫びしつつ、レジの女の子の話で盛り上がる。さすが森高を輩出した熊本だけあるなあ。

時間があるので定番の観光スポットである「阿蘇ミルク牧場」に行く。


今年は阿蘇望の開催が1週間遅くなったことから夏休みに入っており、子供達がめちゃくちゃ多い。とりあえず定番のアイスクリームを食べたのち、しばし動物たちと遊ぶ
さらに牛乳大好きな自分は、牛乳&コーヒー牛乳のダブルで飲む。店員さんの「両方ここでのまれるんですか??」の怪訝そうな言葉にも負けず飲む・・うまい!
全員牛乳を飲んでいるが、藤もっちはさらに持ち帰りで頼んでいる・・・どこ飲むつもりなんだ?

そうこうしているうち16時を回っている。明日のスタート会場である「あそ望の里くぎの」で受付をすませないといけないため、地蔵峠経由で車を走らる。
車に乗っていても長く感じる峠である。これを明日登るときは、どんな気持ちなんだろうか。
途中ロードの集団に出会った。明日参加する人たちなのだろう。
去年は曇天のなか受付をした覚えがあるが、今日は夕方だというのに快晴で非常に暑い。
無事エントリーを済ませほっとする。


いつも前泊は熊本エミナースなのだが、夏休みのせいか予約で一杯ということで、ペンション「プチホテルエリーゼ」に宿泊となった。おしゃれなペンションに野郎6人で泊まるためか、離れの部屋に隔離?されてしまった。

少しカビ臭さはあったものの6人一室で泊まれるというのもまた楽しいものだ。

食事は19時半からのため、まだまだ時間がある。とりあえず車で温泉に行くことにした。ペンションにもお風呂はあるが家風呂と同じなので狭い。
長陽村総合福祉温泉センター「ウィナス」は周辺のペンションに宿泊した場合半額の200円で入浴できる大変ありがたい施設だ。
広く近代的な温泉である。簡単に体を洗い流すとすぐに露天風呂に行った。まだ明るい空と阿蘇の山々を眺めながら入る温泉は最高だ。明日宿泊する地獄温泉の水蒸気もよく見える。明日はどんな気分で温泉に入るのかなあ・・・。

帰りに近くのコンビ二で買出しをする。レジに並んでいるとふと「100ml缶のミニコーラを見つける。よくツールとかで飲んでいるヤツだ・・・明日への最終兵器として買うことにする。やんにしにも薦めると速攻で買っていた。素直だなあ・・。
ペンションに戻り夕食。明日のためにたくさん食べねばと思うが、スープ、サラダと続き、腹に溜まるものがない。
が、メインの地鶏香草焼きとご飯は非常にボリュームがあった。

結局やんにしはご飯を残すことに。

食事を終え外にでると、高原の涼しい風が気持ちいい。

部屋に帰るとみんな明日の準備をしたり、テレビを見たりくつろいでいるが、自分はタイヤをしこしこと交換する。明日は慣らしも済んでない&前後が違うタイヤで大丈夫なのだろうか・・・。
このペンションは冷凍庫付の大きな冷蔵庫があったため、サーモボトルを凍らせることができたのは嬉しかった。

次の日、みんな5時過ぎには起きている。外は快晴のようだ!4回目の阿蘇望にして初めて雨の降らない大会になりそうだ。
用意もそこそこに早めに朝食を食べる・・なぜか納豆である・・・納豆嫌いな自分はあまりおかずがなく満足できなかった。

大会のスタートは「あそ望の郷くぎの」だが駐車はそれより3kmほどはなれた「アスペクタ」に停めねばならない。ここはぬかるんでいたり草ぼうぼうだったりとあまりいい思い出のない駐車場である。が、近くまで行くとスタッフが別の駐車場に案内してくれた。学校かなにかのグラウンドのようで、砂ほこりがひどかったもののアスペクタの駐車場よりは断然いい・・どうやら晴れの日だけ使わせてもらえるようだ。

支度を終えスタート地点である「あそ望の郷くぎの」へ自転車を走らせる。
集合場所には既に多くの人がいた。
痛いほどの快晴のなか、出発を待つ間もじりじりと焼けていく。
開会式のサイクリング協会会長の熊本弁丸出しの挨拶に心和む。
さらに今回は参院選と日程が重なったため、来賓が一人も来ませんでした・・・と発表される。
一同大爆笑。


スタートは参加申し込み順に3分おきに50人ずつのため、遅い人はかなりのロスである。
自分は申し込みが少し遅かったせいか、6番目にグループになった。
Fさんは一番最初のグループだ。今年はすごく走っているようで、体が締まっている・・・来年50歳になるというが全然年齢を感じさせないのはずごい。
続いてひろさん、マダムさん、やんにしの出発を見守る。藤もっちはBコースなので、Aコースが全員出発してからのスタートである。

結局最初のグループから15分以上遅れてようやくスタートする・・・いきなりハイペースは嫌だなあと思っていたが、この暑さのせいかみんな程よいスピードで最初の峠である箱石峠を目指す。

交差点には警察官の方が信号より優先して通過させてくれてとても走りやすい。
しかし、スタートからほとんど離れていないところでパンクしている人もいてちょっとかわいそうになる。

車の多い国道を過ぎると箱石峠へひたすら農免道路を進んでいくコースだ。いきなり8%程度の登坂が続くがまだまだみんな元気なため次々抜かれてしまう。
自分はベスト体重を5キロ以上もオーバーしているうえに、長距離をほとんど練習してない。
いいペースの人の後ろにつき、コバンザメのように引いてもらうつもりだったが、だんだん距離が離れていく・・・こりゃついて行く事も無理そうだ・・・。

まあボトル6本以上の体重が増えているのだからしかたがない。足きりが心配だか「登りは自分のペースで、平地もケイデンス90」という保守走りに徹することにした。

阿蘇望は4回目なのだが、いままでは全部雨であったためボトルも1つで間に合っていた。
しかし今回は朝9時の時点で31度を超えている猛暑である。凍らせたサーモボトル+体にかけるための水ボトルを装備してきたが、箱石峠までの登りでかなり飲むことになる。
ペースが上がらず、先にスタートした人達にとても追いつけそうにない・・今回は完全一人旅かもしれない。

標高が700mを越えたあたりからアップダウンを繰り返し、ようやく標高870mに設置されたエイドに到着する。激しい暑さのせいでみんな水に群がっている。水道からじゃんじゃん水を出すのだが、飲む、ボトルに入れる、体にかける人たちですごい勢いで消費されていた。
とりあえずバナナを食べ、ボトルに給水してもらい先を急ぐ。当然チームの誰にも会えなかった。

ここから先は梅雨時期の豪雨で道が崩落したために変更になったコース(国道265号〜県道217号〜県道212号)を進む。しばらくは下り基調なのでほっとする。

しかしこの新しいコースは曲者である。道は非常に綺麗なのだが、大小のアップダウンが延々と続く・・・GPSを見ると標高800m付近をいったりきたりである。いつ終わるのかも分からないため非常にくたびれる。

途中、木製でできた阿蘇望橋を渡るものの、こげ茶に塗られた色のせいかどうも雰囲気がいまいちである。疲れていたのでさっさと素通りした。

ここまで誰にも会えず、昼食まで一人旅と覚悟していたとき、目の前にチームYABAIジャージを着たやんにしを見つける。この暑さでお互い元気がない。
聞くとあのミニコーラは重いのでもう飲んだとのこと・・・腹に入っても重量一緒だろうに。

しばらく併走していたが、いいペースの集団に抜かれるとやんにしの悪い癖がでる・・明らかに早い集団の後方につこうとして結果的にインターバルトレーニングになってしまい著しく体力を消耗するのである。
体力を消耗したやんにしを置いていくのは忍びないが、今日は登りも下りも自分のペースと決めているので先に行くことにする・・すまぬ。

道路は道幅も広く舗装もいいのだが、いかにも農業用道路らしく山を切り開いて作っているため景色もいいところがなく、風も吹かず、ただ灼熱のアスファルトと太陽の熱がまとも浴びる状況が続く。
ゆるやかなのぼりにさしかかり、あまりに喉が渇いたためミニコーラを飲みことにした。
もちろんぬるいのだが、これがうまい!ツーリングや練習中に飲むコーラも格別だが、こういったイベントで飲むと元気が出る。
元気が出たところで阿蘇高原ゴルフ場の横を通過し、大戸ノ口まで帰ってきた。すこしほっとする。
ここからは来た農免道路をひたすら帰るのみである。行くときは調子が出なかったが、走っているうちに少しずつ体調がよくなってきた。

ようやく昼食会場の「あそ望の郷くぎの」に到着した。マダムさん、ひろさん、Fさんを見つけるも、日陰が無かったため炎天下での食事となる。
刺すような直射日光の下で食べる、熱々のそばとおむすび2個・・・とても食べられる気がしない。
しかし食べなければエネルギー不足になるのは確実なので、おむすびを水で無理やり流し込む。
塩分補給のためそばは汁まで飲みたかったが、さすがに無理だった。

食事中、ようやくやんにしが帰ってくる。一足先に食事を終えていたひろさんが先に出発する。まだまだ元気そうだ。マダムさん、Fさんに「一緒に行きますか?」と誘われるも、とてもそんな元気は無い・・・。
この後、やんにしと二人で日陰に移動し、ようやく一息つく・・結局30分近くも休憩してしまった。

Bコースの藤もっちが来るかな・・と思っていたが、結局会えなかった・・この炎天下でかなり苦労しているのかなあ。
すでに時刻は13時30分を過ぎていた・・このままでは終了時刻の17時に帰れなくなるかも・・とやんにしに言われ急いで出発する。次は阿蘇望の最大の難所である地蔵峠だ。

出発してすぐに地蔵峠の入り口に到着する。ここを登るのは3回目だが、今までは雨の中しか走ったことがない・・どうなるか分からないが「登りは自分のペースで、平地はケイデンス90」を頭でつぶやく。自分は平地で飛ばして疲れ、登りで踏めない・・が最悪のパターンのため、ここは焦らず行くことにする。幸い午前中は無理しなかったので脚に疲れは残っていない。
登り始めてすぐにやんにしが遅れだした・・前半の疲れが残っているのか苦しそうだ。そのうち後ろから「アディオス〜」との叫びが聞こえた。黄色いジャージを置いて行くのは気がひけたが、今回は自分にも余裕がない・・。

見馴れたコースなので走りやすいのだが、8%、10%、11%の標識が次々と見えてくる。
暑い・・暑すぎる・・。登り始めからボトルの水を体にかけまくる。
時間は14時・・そうか一番暑い時間なんだ・・。
最初のほうに少し下る部分もあるものの、延々と登りがつづくのが地蔵峠だ。GPSの高度は600mを指している。地蔵峠は1080mもあるので、あと500m近く登らなくてはならない。

炎天下、延々と続くつづら折の道、スピードもわずか9〜10kmしかでていない。自分はイベントでは後半になるほど調子がよくなるため、午前中よりは元気だったのだが、皮膚は太陽にじりじりと焼かれ、アスファルトからは容赦のない熱風が吹き想像以上に体力を奪っていく。
遠くで蜃気楼が見えていた。

ふと自分を抜かしていった車が、目の前の少し広い路側帯に停まった。
「あ〜誰かの家族かどっかのチームの人かなあ・・・」と朦朧とした頭で思う。
今回の阿蘇望では、車で先回りして応援したり補給したりしている人たちを数多く見てきた。
この炎天下、35度を超えようとする天気で、冷たいボトルをくれる仲間や家族がいたらどんなに嬉しいことか・・・。

しかし、車から急いで一人降りてきた25歳くらいの女性は、大急ぎで軽自動車のバックドアを開けた。冷たそうなペットボトルを手にもった彼女は、自分を見て、そうしてこう言ったんだ。
「水かけましょうか?」
これを天使と言わずして、何を天使というのだ。
ランス・アームストロング著「It’s not about the Bike」より

「お願いします!!」まだ大きな声を出せる気力があった。
路肩にいる彼女に、そっと近づく。体にヘルメットにかけてもらった水は、人生で最高に冷たく気持ちよかった。
「ありがとう!」とお礼をいうと、「頑張ってください!」と言ってくれた。
最高だ。なにが最高だって?ものすごく可愛い娘だった。
振り返らなかった。体中が熱かった。直射日光が熱いのではなく、地面の熱反射が熱いのでもない。心が燃え上がって熱いんだ。まだまだやれる。

地蔵峠の中腹から、うわさの地蔵が少しずつ増えてきた。自転車を押して歩いているもの、木陰で寝ているもの、チーム5人くらいでみんな座っているもの・・。箱石峠ではほとんど見ることはなかったが、さすが地蔵峠である。
登るにつれて異常なほど多くなってきた。これがうわさの「地蔵になるか地獄になるか」か・・。
エイドの手前まで、視界にわらわらと地蔵が見える状況が続く。
しかし、自分を抜かして行った人たちが地蔵になっているのが多い。不思議なもので抜かされた人は覚えているものだ。
30人以上もいただろうか・・・ようやくエイドに到着する。
今までの阿蘇望ではこのエイドに寄らなかったのだが、今回は水補給のために寄る。
ここではバナナの他にオレンジがあり大変ありがたかった。水をボトルに入れ、体に水をかける。わずか30秒くらいで出発する。
体は疲れているが気力はまだまだやれる。休憩は必要なかった。

エイドからさらに150mほど登ると、ようやく見馴れた山頂に着く。ここからは長い長い下り坂だ。高地なのでとても涼しく感じる。牧場にいる牛たちを見ながら慎重に下る。一気に標高1080mから標高200m近くまで下ったので耳が変な感じだ。しかし下は暑い・・・。

ここからは非常に車の通りが多い幹線道路だ。しかも峠を下りきってしまったため、これで峠は終わりだったかな?という気分になってしまう。というかもう真っ直ぐゴール地点に帰りたかった。
ここで最後のエイドがあり、ようやく先行していたマダムさんとFさんを発見した。嬉しい〜。
マダムさんが「速かったな〜」と言ってくれたが、なぜ速かったのかは動機が不純なので言えなかった・・・。


自分はスポーツドリンクの粉を持参しておらず、エイドも水か麦茶しかないため、自動販売機でスポーツドリンクを買おうとしたがすべて売り切れている。
こうなったらコーラしかない!350mlのコーラを一気飲みする。

エイドでは水とゼリーのみもらい、Fさん、マダムさんと一緒に出発することにした。
俵山ってどれくらい標高ありましたっけ?」おそるおそる聞いてみる。「700m位じゃなかたっけ?」・・・げっ・・これからまた500mも登るのか・・。

俵山までの道は、車がひっきりなしに通る幹線道路だ。そのうえ自転車のために渋滞している。
16時近くだというのにこの暑さ、車の排気ガス、まいってしまう。
しかしFさんはめちゃくちゃ元気である。自分の横を抜いていったと思ったらどんどん加速して見えなくなる。結局俵山の頂上まで捕まえられなかった。

ようやく俵山の旧道に入る。頂上付近に風力発電が何基も立っている。自分は俵山は初めてだが、まさかあそこまで登るのだろうか・・・。

道は荒れているが車はほとんど通らないので走りやすいかな・・と最初は思っていた。しかしその考えは違った。
今回一番きつかった峠はどれ?と聞いたら、ほとんどの人がこの俵山というのではないだろうか・・・ここまででかなりの体力が奪われているうえに、路面が荒れて走りにくく、斜度8%〜10%が延々と続くため、まったく脚を休める場所がないのだ。
ここで初めて地蔵になるかもしれない・・と思った。止まりたくない・・・朦朧とするとボトルの水を掛けて正気に戻る・・・を繰り返す。回りには自転車を押して歩いている人も何人もいる。

しかし大会役員の方もここがきついと分かっていたのだろう、水を持って待ち構えてくれていた。体に掛けてもらった水はボトルと違って冷たい・・生き返る。
メータを見たり、地面を見たり、空を見たり・・最後は気力で走っている。マダムさんは少し後方に離れたみたいだったが振り返る余裕がない。

前方が少し開けてきた。横を走っている人に声をかける「あれが頂上ですよね?」
「自分も初めてなんで・・あそこですかね?」
ここで頂上の役員から声がする。
「ここから10km下ってゴールです。気をつけてください〜」

ものすごく嬉しかった。阿蘇望を無事完走できそうでホッとした。頂上ではFさんが待ってくれていた。
10km下るだけなら15分あれば余裕なのでマダムさんを待つ。すぐにやってきた。

記念写真をとり、いざゴールへ。この下りで落車してもバカらしいので慎重に下る。
ここの下りはまるでツールの山岳ステージみたいだ。つづら折の道がずっと下まで続いているのがよく見える。

あとは3人一団となって、スタート、昼食会場と何度も見た「あそ望の郷くぎの」へ走る。
ゴールした瞬間、マダムさん、Fさんと握手をする。みんないい顔をしている。本当に嬉しい。

Bコースの藤もっちが車を駐車場まで回していてくれた。ひろさんは1時間前には到着していたそうである。ひろさんは年々速くなっているなあ〜。
着替えたり、自転車を車に積んだりして、やんにしの到着を待つ。
地蔵峠できつそうだったので、今回はリタイアしているかも・・・。
そのうち回収車が帰ってきたので、ひろさんがやんにしを探しに行くものの見つからなかった。
ゴールして20分以上が過ぎている。17時の時間制限も過ぎてしまい、みんな心配になる。
待つ間に駐車場内にある湧き水に行ってみる。足をつけるとめちゃくちゃ冷たく気持ちいい。
が、ここで足をすべらせ怪我をしてしまった・・・やんにしの怨念なのか・・・。
ここで走ってくるやんにしを発見。どうやら足きりを免れたようだ。
全員完走!こんなに嬉しいことはない。本当にみんないい顔をしている。
着替えた後、カキ氷の上にアイスが乗っている、「阿蘇望スペシャル」なるものを食べる。
走ったあとの冷たいものは格別だ。

今日の泊まりは、いつも常宿のしている地獄温泉清風荘である。みんなここの温泉と、地獄なべを楽しみに走っていたようなものだ。
藤もっちは混浴の方に素直に喜んでいたが・・。

食事まで時間があるので、「内湯」「あだ討ちの湯」に入る。自転車で走ったあとの温泉はなんでこんなに気持ちがいいのか・・・今日のコースの話で大いに盛り上がった。
ついでに地蔵峠の女の子の話でも盛り上がったが・・・。
夕食は地獄なべである。猪鹿雉をを焼き&なべで食べるもので、これが絶品である。

みんな莫大なカロリーを消費しているため、6人前はかなりの量なのだが次々と消えていく。
ひろさんの飲みっぷり、藤もっちの食いっぷりはとくにすごかった。
最後にきびごはんと味噌汁、漬物を出してくれる。素朴な味だがこれが本当にうまい。
全員大満足だった。

夜はみんな疲れているため、参院選の結果もそこそこに寝てしまう。

朝5時半に起きると、部屋には藤もっちしかいない。みんな朝風呂に行ったようだ。
2人ですずめの湯に行く。混浴露天風呂なのもいいが、なにより湯温がいい・・ここに入ると平気で1時間くらいは入ってしまう。朝の晴れた空を見ながらいい気持ちだ・・
清風荘は朝の食事もものすごく豪華である。
バイキングで食べ放題のうえ、朝取れたばかりの卵、新鮮な牛乳とどれをとってもおいしい。
牛乳大好きな自分は8杯も飲んでしまった。

観光がてら昨日登れなかった草千里に行く。車で走るのも気持ちいいが、やっぱり自転車で走りたい。

景色もそこそこに、お土産を買いに阿蘇ファームランドに寄り、広島へ向かう。
昨日の疲れか、みんな爆睡していた。

今回はマダムさんの頑張りで、1台の車で行けて大変楽しかった。
(6人6台積むために何度も車載を試行錯誤したそうです・・感謝)
来年こそは、阿蘇山頂を含む4峠をひろさん・Fさん張りに登ろうと決心しました。
藤もっちも来年はAコースに出る!と気合が入っていました。
やんにしは相変わらず「練習って何?」と言っていますが・・・。
暑さをどう克服するかが課題の大会でした
誘ってくださった、マダムさん、やんにし、ありがとう。
そして心よく?送り出してくれた嫁さんに感謝します。

写真提供:コサカ@Billatoさん、マダムさん、Fさん、やんにしさん・・・ありがとう!