第17回全日本マウンテンサイクリング
in 乗鞍

2002年 8月25日(日)
夏の最後を告げるべく、毎年8月の最終日曜日に開催される「マウンテンサイクリングin乗鞍」、規模・人気からしても日本一のヒルクライムレースだ。そんな乗鞍にエクシーの坂バカ北尾(ノーステール)が参加してきた。
金曜日に広島を出発して長野入り。有名な善光寺まいりをして乗鞍の完走を祈願する。なんと言っても乗鞍の標高差は1250mは(大会案内や雑誌には1380mとありますが、ここでは地形図で調べた標高を記載します。)、広島県最高峰の恐羅漢に匹敵するくらい高く、広島近郊では練習できず未だ未知の世界なのだ。はたして登頂できるか・・・!?
土曜日、松本駅で元エクシー会員の水沼さんと合流する。駅周辺には自転車を積んだ車や輪行する人も多く「乗鞍にきたんだな。」と実感する。
松本からは水沼さんの車で移動する。道中ではあちらこちらで参加者の車を目にする。ホント凄い数だ。車窓の景色も良く、そんな雰囲気に心も弾み、とても気分が良い。初めての地での初レースは、わからないことも多く不安になるものだが、今回はベテランの水沼さんがついているので心強いのも気分の良い原因のひとつだろう。
日本アルプスに上高地と超人気スポットのあるこの幹線道は渋滞することで有名だが、今年はスムーズに流れ乗鞍高原に14時前に着くことが出来た。乗鞍山頂は雲がかかり明朝まで降水確率も高く天気が心配だ。
会場周辺は車が並んでいたので、まず宿にチェックインすることにする。宿は水沼さんご用達の「ロッヂグリーンウッド」で、会場にも近く便利が良い。
部屋は大部屋で10人の相部屋となる。すでに3人の方が来られていた。毎年、同宿同部屋になることが多く、水沼さんと2人の方は顔なじみだ。荷物を置いて自転車で会場に向かい受付を済ませる。
乗鞍の計測チップは少し変っていて、小型でクイックを緩めてシャフトに取り付けるタイプでとても簡単だ。
会場には少ないが出店もあり、掘り出し物や新製品を見るのも楽しい。
宿に戻りお風呂に入る。ここ乗鞍高原は温泉地でもあり、有名な白骨温泉と同じ湯が湧き出ており、乳白色のお湯は体が温まり移動の疲れが取れる。坂バカの集まる部屋では自転車談義で話が盛上がり、乗鞍の注意点も聞くことが出来た。そして明朝は早いので21時に床に着いた。
さー、いよいよ大会当日だ。5時に起床し外を見ると雲ひとつない快晴!!乗鞍山頂も良く見え、おまけにゴール地点まで良く見える。それは遥かかなたの上部にあり、本当にあそこまで上れるのか不安になる。それでいてなぜか心がワクワクするのは、やはり坂バカだからだろうか。「よーし、やったるか!」と気合を入れる。
朝食をほどほどに済ませ、用意をして会場に行く。そこにはサイクリストが溢れ返っていた。さすが日本一の大会だ。さらに気分が盛上がる。
整列はすでに始まっていて先着順のスタートとなる。私の参加するDクラスには600名がいて、200番手くらいに並ぶことが出来た。これなら第1コーナーの渋滞も避けられるだろう。
開会式も終わり『マウンテンサイクリングin乗鞍』のスタートだ。7時30分、第1組のチャンピオンクラスがスターとして行く。会場にはオーロラビジョンが設置されていてスタートの模様が良くわかる。健脚揃いのチャンピオンクラスだけに全員があっと言う間に見えなくなった。う〜ん、すごい!
水沼さんは私より4分早いEクラスでスタートする。私は7時44分スタートだ。
▼ スタート地点 [1460m]
緊張しつつ「頑張るぞ!」と心で叫びスタートする。
「前半はスピードが出せるのでタイムを狙うなら飛ばせ!」との宿での話はあったが、中盤の急坂が怖く、慎重派の私はスピードが出せない。「まーマイペースで行くか。」 いつも広島で練習している野呂山(標高差700m)と同じペースで上る。それでもどんどん抜かれて行く。普通のサイクリストの中なら私も決して遅くはないのだが、そこは日本一の坂バカ大会、どうやら私は”テル”にはなれないようだ。
▼ 1.5km地点 [1540m]
数キロ進むと乗鞍高原スキー場内を通る。このあたりから先にスタートした人たちを抜くことになる。そう坂バカとは言えみんなが速い訳ではないのだ。坂が好きで日本一の登坂に挑戦しに来ている人も多いのだ。「みんな頑張れ。」、そう心の中で思いつつ自分も頑張らねばとペダルを踏む。
お、前に見覚えのあるジャージーが・・・、ここで水沼さんを捉える。
ダイエットで9kgも体重を落としただけあって良いペースで上がっています。▼ 8.6km地点 [1870m]
大きなカーブが続き出すと中間地点である。時計を見ると35分。「おっ、早いじゃないか。」 でも、この先には急坂が待ち構えている。果たして目標の1時間20分を切ることが出来るか。
中間地点から第2チェックポイントの位ヶ原山荘までの約5kmは斜度が増す急坂区間だ。中でも冷泉小屋手前にあるコンクリート舗装部分は激坂で、おまけに滑り防止の溝まで切ってあり石畳状態。凸凹が行く手を阻み、多くの参加者が苦労している。しかし、私には最終兵器がある。フロント34T×リア26Tと言うスーパーローギヤでペダルを回す。おかげで足取りは軽い。さー、どんどん行くぞ!
▼ 15.8km地点 [2340m]
上を見ると遥か上方につづら折れが続いている。やっぱり乗鞍はすごい。イヤになる気持ちを押さえつつ、ペダルを踏みつづける。
▼第2CP位ヶ原山荘 16.2km地点 [2350m]
そして第2チェックポイントを通過すると急坂区間も終わり、少しは上り易くなる。しばらくすると残り5kmの案内板が現れる。ここから1kmおきに残り距離が表示される。下を覗くとさっき上ってきたつづら折れが良く見える。まだ多くのクライマーの列が続いている。
▼ 16.7km地点 [2360m]
標高も2500mに近づくと森林限界を超える。視界も開け目の前には雄大な日本アルプスの風景が広がっている。この景色はテレビで見覚えがある。そうツールのアルプスステージにそっくりである。さすが信州乗鞍岳。辛いはずなのに気分はとても良く、つい笑みがこぼれてしまう。「乗鞍に来て本当に良かった。」
▼ 17.6km地点 [2450m]
▼ 18.0km地点 [2490m]
上の写真の山肌に白いものが写っているのがわかるだろうか?これは大雪渓でかなり小さくなっているものの、この日も夏スキーを楽しんでいる人が数名いた。つまり気温もかなり下がってきていると言うことで、登坂中にもかかわらず結構肌寒い。
さて、ハイな気分で漕ぎつづけ残り4km地点を通過、時間は1時間 3分である。これなら1時間20分切れそうだ。とりあえず1kmの区間タイムを計ってみる。
残り3km地点、時間は1時間 8分、えっ5分もかかったの・・・、目の前から目標が遠のいて行く。でもせっかく乗鞍に来たのだから最後まで挑戦してみることにしてペースをあげる。
足はすこぶる調子が良い。でもなぜか思ったよりペースが上がらない。そう、ここは高地、酸素は下界の2/3しかないのだ。これも宿で出た話だが、ゴール手前は力が入らなくなるのだ。
残り2km地点、1時間12分、時折現れる急坂にくじけそうになりながら頑張る。
そしてラスト1km、時間は1時間16分、よーし、ラストスパートだ!! ・・・と思った矢先、前の女性がふらつき私の右前の走者の進路を塞ぐ、その走者が私の目の前に・・・、急ブレーキで落車は免れたものの完全にスパートのタイミングを外してしまった。それでもとりあえず最後まで頑張ってみる。峠のゴールはもう目の前だ。
▼ ゴール!! 22km地点 [2710m]
そして感激のゴール!!腰の痛みに耐えつつ、初の1000mを越える山を制覇することができた。タイムは1時間20分14秒と目標まで15秒足りなかったが、とても納得のいくレースだったと思う。(走行中に写真撮らなかったら余裕で目標達成かな、ははは。)
さて、ゴール地点だが参加者でごった返していた。山頂広場の畳平をうろうろ出来ると思っていたのだが、実質、我々参加者に許されていた移動範囲は、ゴールの峠から数百メートルの道路上だけであった。この日も乗鞍スカイライン(大会はエコーラインで開催)から多くの車が上がってきており、事故防止の意味でも仕方ないことかと思う。
しかし、可愛そうなのはゴール付近の混雑があまりにもひどく、ゴール手前に長蛇の列が出来てしまい5分以上のタイムロスをした人が多くいたことだ。私はすんなりゴールできたが、水沼さんは見事に渋滞につかまり約4分のタイムロスをしたそうだ。公式タイムは1時間48分だが、実際は1時間44分でゴールできたみたいで、去年より15分早いゴールで大幅な目標達成である。
スタート時に預けていた荷物を受け取り、ヤッケとレッグウォーマーを身につける。さすがにじっとしていると寒くなってくる。特にこれから下山するので上着は必要だ。
畳平である程度のんびりしたあと下山を開始する。ある程度まとまって下りることになり、しかも先導車が頭を押さえているので無謀に飛ばす人もなく安全に下山することが出来る。上りとは違った景色を眺めつつ、時折止まって記念撮影やまったりしながら、ゆっくり下る。
スキー場辺りから気温も上がり暑くなってくる。そして45分かけて会場までおり、世話になった上着を脱ぐ。
計測チップを返却後、宿に戻り帰り支度をする。そう、宿も大会に協力していて、大会終了まで部屋とお風呂を開放していてくれるのだ。これは参加者にとって大助かりで、お風呂に入って疲れを癒すことが出来た。
さらにこの大会を大変気に入ってしまった我々はチェックアウト時にしっかり来年の宿泊予約を入れるのである。これで来年も安心だ。時間も早いので表彰式を覗いて見る。次々に表彰される選手たちを羨ましく思いつつ拍手を送る。そして来年の自己ベスト更新を心に誓う。
右上の写真は男女のチャンピオンである。左は帝王村山利男(6連覇)、右はおなじみ高橋いずみである。二人が着ているのは乗鞍のマイヨグランペールだ。
そして渋滞が始まらないようにと早めに乗鞍を後にした。
それにしても本当に楽しい大会だった。このマウンテンサイクリングin乗鞍が、なぜこれほどの人気があるのかわかった気がする。上り応えのありすぎる坂道、そして達成感!類を見ないロケーションの素晴らしさ。まさに日本一の名に恥じない大会だった。まず間違いなく来年もこの地を訪れるだろう!
P.S 下図は最終日の松本観光の時のおまけ写真です。